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「AIでいらなくなる上司」と「それでも生き残る上司」たった1つの決定的な違い

石倉秀明:山田進太郎D&I財団COO マネジメント「40代で戦力外」にならない!新・仕事の鉄則 2025.3.24 6:15 

「40代で戦力外」にならない!新・仕事の鉄則
Photo:PIXTA

「生成AI」の進化が凄まじい。日頃からAIを利用している人であれば、AIが本格的に仕事相手や同僚、そして上司になる日が近いと実感していることだろう。では、AIが上司として、部下の仕事をフィードバックするとなると、何が変わるのだろうか。(山田進太郎D&I財団 COO 石倉秀明)

AIが仕事を評価する時代がやってくる!?

「生成AI」は今、ビジネスパーソンの働き方にかかわる最重要トピックの一つだろう。OpenAIがリリースしたDeep Researchや、XのGrok3などは明らかに今までの生成AIとはレベルの違う推論能力を持っていると言っても過言ではない。

 筆者もChat GPTのProプランを利用しているが、リサーチやデータ分析といった業務は完全に自分でやる必要がなくなったと感じている。同じように生成AIを使っている人は、AIエージェントが生活や仕事の中に入ってくる日はすぐそこまで来ていると感じる場面が増えてきているのではないだろうか。

 現在では、生成AIを常時利用している人はまだ一部だろうし、本格的に業務に入り込んでくることは少ないかもしれない。しかし、AIが人間の代わりに仕事のフィードバックをするようになる時代はそう遠くないだろう。AIが上司や同僚となって自分の仕事ぶりを評価したり、指示を出したりしてくる世界はあっという間にやってくるかもしれない。

 実は、アカデミックな世界では、AIを教師として活用したら人間にどのような影響があるか、といった研究がすでに出てきている。今回は、「AIが上司となり、私たちの仕事にフィードバックをするようになったらどうなるか?」という疑問に示唆を与えてくれる研究を紹介するとともに、AIが上司になった後に訪れる世界を考えてみたい。

バイアスの混じった人間の指導者バイアスのないAIの指導者

 2024年に発表されたある研究※では、中国で碁の指導者を人間からAIに変えたときにどんな結果をもたらしたかを調査しており、結果は以下の通りだった。
※1 Bao, L., Huang, D., & Lin, C. (2024). Can artificial intelligence improve gender equality? Evidence from a natural experiment. Management Science.

・AIに教わった時の方が、人間に比べて男女ともにトレーニングの進度が速くなった。

・女性の方が男性に比べてトレーニング進度はより速くなり、AI導入後5カ月間で、AIに教わったグループは女性の碁のスコアが男性に並んだ(従来は男女に実力差が存在し、男性の方が高かった)。

・生徒の満足度においても、AIの方が人間の先生よりも高くなった。特に、女性の方がAIの先生をより強く好んだ。

・人間の先生の方が、男性の生徒をより好意的に捉えていたが、AIになるとジェンダーによる好みがなくなった。

・女性の生徒は人間の先生のジェンダーバイアス(自分に向けられたもの)を感じていたが、AIからは感じていなかった。

  この研究が示すのは、教える側のジェンダーバイアスによって、男女の成績が変わってしまったということだ。

 従来、囲碁のプレーヤーは男性が圧倒的に多く、結果的に教える指導者も男性がほとんどである。結果的に、プレーヤーにも指導者にも、「碁は男性向きである」という無意識のバイアスが生まれてしまい、女性に対して指導する際は、無意識のうちに男性よりも要求の難度が低くなっていた。そのため、女性のスコアは有意に下がってしまったといわれている。

 つまり、教える側が勝手に相手の能力を決めつけ、その結果として本当に教わる側の能力に差が出てしまっていたということだ(しかし、本来は同じ能力を持っていたのである)。

 実はこのような現象は囲碁に限らず、さまざまな分野でも観測されている。例えば、2019年には、ジェンダーバイアスの強い男性の先生が数学を教えると、女子生徒の成績が有意に下がるといった研究結果が発表されている※。「指導」や「評価」が発生する分野では同様の現象が起こっていると考えられるだろう。
※2 Carlana, M. (2019). Implicit stereotypes: Evidence from teachers’ gender bias. The Quarterly Journal of Economics, 134(3), 1163-1224.

ポスト争いの相手はAIになる?

 もちろん、AIが学習する際のデータがすでにバイアスを含んだものであれば、AIが出してくる結果もバイアスをより助長してしまうリスクがあるというのは、よく言われている通りだ。

 しかし、バイアスのない状態でAIをうまく活用できるのなら話は別だ。今回の例のように、今まで上司や教師など評価する人のバイアスによって不利になっていた人の評価が、見直される時代が来るかもしれない。

 そうなった場合、企業はAIと人間、どちらを管理職として採用するだろうか。

 バイアスによって本来もっと活躍できるはずだった人の能力を十分に発揮させられない人間の上司と、バイアスなく能力を発揮させられるAIがあった場合、AIを選ぶという企業は徐々に増えてくる可能性が高い。

 これからの日本はしばらく人口減少社会であり、能力のある人を採用し、その人が十分に能力を発揮できる会社にしなければ会社の生産性が上がることもないし、業績もどんどん苦しくなるだろう。

 つまり、今いる社員の能力を最大限発揮させてあげられる力が、これからの管理職に求められる最も重要なものの一つである。しかし、管理職自身のバイアスによってそれができないのであれば、企業としてはその役割を人間よりもAIに任せるようになってもおかしくはない。

 これからの時代、管理職のポストを争う相手は同僚ではなく、AIになるだろう。AIに負けないためには自らのバイアスを自覚し、いかに部下の力を発揮させられる上司になれるかが重要となるはずだ。

石倉秀明・山田進太郎D&I財団 COO