はじめに
□定額料金を支払えばサービス利用ができるビジネスが広がっている。
□月額払いの「サブスクリプション(以下サブスク)」サービスである。
□利用料金が手頃で気軽に申し込めて便利なサービスが急増している。
□ユーザーは「気に入らなければいつでも解約できる」のがメリット。
□サブスクでは、いかに契約継続期間を伸ばすかが成功するカギ。
□解約したいユーザーの気持ちをいかに早く理解して対応する。
□これからの時代に必要なワンツーワンマーケティングについてまとめる。
月額定額料金で使いたい放題
□2011年、Adobe社が今までのパッケージソフトウェアをクラウド化した。
□1ヶ月や1年単位での定額料金を支払えば、ソフトウェアを利用できる。
□このタイミングで他業種からもサブスクサービスが次々と誕生した。
□ランチやレンタルドレス、自動車までもが定額料金で利用できる時代。
□飲食系ではラーメンの定額1ヶ月食べ放題、定額コーヒーサービスが登場。
□スマホやタブレットが普及して、高速データ通信が当たり前の時代。
□音楽は聴き放題、動画は見放題になり、ユーザーが急増している。
日本とアメリカのサブスク市場
□日本のサブスク市場規模は5627億円(2018年)。
□2023年には8623億円(2018年の約1.5倍)の規模になると予想される。
□アメリカのサブスク市場は5700万ドル:約63億円(2011年)。
□2016年には26億ドル:約2860億円(2016年)と急増している。
□アメリカの例から、日本の市場規模は予想を大幅に上回る可能性がある。
□日本で今後伸びるサブスクは、「オンライン学習」や「ニュース」など。
□低価格で大量コンテンツが利用でき、ユーザーはお得感を感じやすい。
日本で最大のサブスク市場は
□最も市場規模が大きいのが、ネット経由のオンデマンドサービス。
□今まではCDやDVDを借りたり、購入したりしたものが利用し放題に。
□動画配信;
□「Amazon Prime Video(アマゾンプライム・ビデオ)」。
□「Netflix(ネットフリックス)」他。
□音楽配信;
□「Apple Music(アップルミュージック)」他。
成功モデルを作ったアドビ
□ソフトウェアはパッケージ販売が一般的でユーザーは買って使用した。
□バージョンアップされるたびに買い換えが発生する不便さがあった。
□サブスクサービスによりユーザーは常に最新版が利用可能。
□アドビは世界中のユーザーの使い方データを集めることに成功した。
□アドビはユーザーと「WIN-WIN」の関係を築き、新たなビジネスを展開。
□他のパッケージ販売製品をサブスク化するために徹底的なユーザー分析。
□大量のデータ分析とテスト結果からマーケティング力をアップさせた。
2種類のサブスクの違い
□サブスクにはサービス提供型と商品提供型の2種類がある。
□サービス提供型はオンラインでの「使い放題」でサブスクの代名詞に。
□大容量データを扱えるインターネットの普及でこのサービスが実現した。
□商品提供型サブスクはアパレルやコスメ、ブランド品が中心となる。
□商品を扱う場合、商材を揃えるだけではなく、キュレーションが決め手。
□選ぶ手間を省き、自分にピッタリのアイテムを手に入れられる点が魅力。
□サービス提供型と同じく、お得感をいかにアピールできるかがポイント。
「安い、便利」だけではない
□「安い」「気軽」に加え「ワクワク感」や「予想外」のサービスも登場。
□月額サービスの特徴を利用し、有名人がセレクトしたお菓子の宅配など。
□ビューティーカルテとコスメがセットで宅配されるサービスも評判に。
□流行やセンスも手に入るとあって、若者を中心に人気が高い。
□「付加価値」のあるサブスクは多少高くてもユーザーは受け入れやすい。
□企業は割安感のあるサービスよりも収益性を高くでき解約も抑止できる。
□「自分は選ばない(選べない)ものが届く」サービスが今後も増加する。
サブスクに向かない業界は?
□サブスクがどんどん登場する一方、姿を消すサービスも多い。
□サブスクになれたユーザーは、値ごろ感やサービス内容に厳しい。
□飲食系は身近な「食べ物」が商材なので、ユーザーの目が最も厳しい。
□コーヒーや焼き肉は身近で料金も明確なため、収益確保が難しい。
□飲食系では「ファミレスのドリンクバー」が圧倒的に収益性が高い。
□ドリンク類の原価が非常に安く、お店の負担にならない。
□飲食系がサブスク化で成功するには「収益率」が高い場合に限られる。
サブスク化の失敗例:車
□トヨタ自動車が大々的に宣伝した「KINTO」が苦戦している。
□多くの若者に車と気軽に付き合って欲しいというのがトヨタの狙い。
□諸経費込みで計算すると、購入した場合に比べ6,000円/月ほど安い。
□2019年の7月~11月の5ヶ月間で868件(6件/日未満)と低い契約率。
□契約が伸びない理由は自動車保険の保険料や長期利用時のメリット不足。
□KINTOを販売するディーラーにも販売メリットがないなどの課題も多い。
□アメリカではゼネラルモータースがキャデラックのサブスクを休止した。
サブスク化の失敗例:衣料
□AOKIが月々7,800円で始めたスーツのサブスクは、開始後半年で撤退。
□シャツとネクタイをセットにして毎月1回まで交換ができるサービス。
□スーツを買わない若年層に着てもらうのが当初の狙いでスタートした。
□実際のユーザーは40代が多く、スーツ選びに厳しく品揃えに苦労した。
□衣類の場合、数回貸し出さないと減価償却できないのがネックとなる。
□スーツ(特に女性)も流行があり、流行が終わると大量の在庫を抱える。
□余った衣類は「メルカリ」などに出品して処分するなど労力もかかる。
毎月数万人が解約する非効率性
□魅力的なサブスクでもユーザーの離脱(解約)からは逃れられない。
□サブスクの解約率は一般的に高く、事業の継続に大きな影響を与える。
□動画配信会社の大手には、何十万人から何百万人という会員がいる。
□どの会社も毎月10万人から20万人程度が解約していくのが普通である。
□その埋め合わせは新規会員を集めることで現状維持か微増を保っている。
□その結果、純粋な会員の増加数は数百人から1000人ほど程度に収まる。
□穴の開いたバケツに水をドンドン入れている状態で、非常に効率が悪い。
大量消費型時代の終えん
□今までの企業は売上アップやコンバージョン(獲得成果)が中心だった。
□消費者行動が「所有」から「利用」へと変化し、大量販売が通用しない。
□マスメディア離れにより、マス・マーケティングも通用しない。
□サブスクビジネスは、一人ひとりの顧客を大切にすることで解約を防ぐ。
□解約されても解約理由をしっかりと受け止め、サービスの改善に活かす。
□これからはLTV(顧客生涯価値)が重要な経営指標になってくる。
□LTVを高めるにはワンツーワン・マーケティングへの転換が必要になる。
すぐに解約されてしまうわけ
□新規会員が入会後1ヶ月以内に解約した場合、多くは入り口に問題がある。
□その会社のサービス内容とかけ離れたキャンペーンが原因の場合が多い。
□有料チャンネルの新規特典にお米券をつけたところ98%が解約していた。
□定額サービスのサブスク以外に定期通販のキャンペーンにも問題が多い。
□サプリメントなどの販売では、初回だけ大幅割引をするのが普通である。
□あまりの安さに惹かれ、興味がなくても買ってしまう人が多数発生する。
□もともと興味がないサプリなので、すぐにやめて解約率だけが高くなる。
不満を持ち始めた長期ユーザー
□「初回限定特典」で会員を集め、後で回収する手法はもう通じない時代。
□逆に長期ユーザーは見返りがないことに不満を持ち始めている。
□新規勧誘コストを自分たちが負担していることに気づき始めている。
□企業側が既存ユーザーに対しても何らかの優遇をしているかも知れない。
□その場合はしっかりと伝えて長期ユーザーの不満を解消する必要がある。
□この不満を放置すると蓄積され「解約」につながりやすい。
□新規勧誘と同じく、既存顧客への優遇が解約を防止するカギとなる。
企業も利用者を「リユース」
□通販業界も初回だけの割引はリピーターを増やさないと気づき始めた。
□ポイントサイトや「やらせ」っぽい広告の世界から早く抜け出したい。
□ユーザーは入り口で自分の間違えに気づくとすぐに離れていってしまう。
□マーケティングは「入り口」だけで終わらせてはいけないということ。
□企業は今までモノを買って使い捨てるようにユーザーを使い捨ててきた。
□「消費者」は「利用者」に変化し、モノを「リユース」する時代。
□サブスクは企業が利用者を「リユース」するビジネスモデルになる。
若者たちが考え方をシフト
□若者のトレンドは「買う」ではなく「体験そのものを大切にする」こと。
□音楽はCDではなく、ネット配信でのダウンロードやストリーミングから。
□全米の音楽業界の売上の80%はインターネット経由のストリーミング。
□日本でも音楽配信の売上はストリーミングがダウンロードを超えた。
□音楽もゲームも、ファイルやプログラムはサーバーに置く時代。
□ユーザーはスマホでインターネットを使ってどちらも簡単に楽しめる。
□主役は「ダウンロード(買う)」から「ストリーミング(利用)」に。
出荷台数の低下は車離れ!?
□日本もアメリカも自動車の出荷台数が年々減ってきている。
□日本は若者の自動車離れが大きな要因の1つになっている。
□アメリカは自動車がなければ生活できない国なので自動車離れではない。
□アメリカでは、配車サービスの急成長が出荷台数を低下させている。
□インターネットとスマホで簡単に予約でき、それほど待たずに車がくる。
□維持費を考えると、車を移動手段と割り切る人にはとてもお得である。
□今後アメリカでも車を持たない家が増える可能性が高い。
自動運転タクシーも出現
□「ウェイモ」とい自動運転開発会社がある。
□AIを搭載した車で自動車産業の「破壊者」と呼ばれている。
□すでにアメリカの一部の州で試験的にサービスを始めている。
□自動運転タクシーなので、ライバルはウーバー。
□ウェイモが実用化すれば、人が運転して走る自動車の出荷数は低減する。
□自動車が売れなくても、人の動きはなくならない。
□移動手段も買わずに使うシェアリングエコノミーが当たり前なる。
急成長するシェアリングサービス
□シェアリングサービスを提供している企業の時価総額である(2018)。
□ウーバー:7200億ドル(77兆円)。
□フォルクスワーゲン:7410 億ドル(79兆5千億円)。
□エアビーアンドビー:3100億ドル(33兆2800億円)。
□ヒルトン・ホテル&リゾーツ:2800億ドル(30兆円)。
□ネットフリックス:1兆5400億ドル(165兆3千億円)。
□ケーブルテレビNBC:1兆9300億ドル(200兆7千億円)。
プレーヤーの交代
□車を一台も作っていないウーバーが毎日車を製造している会社と並ぶ。
□オフィスも借り物のエアビーアンドビーがヒルトンより時価で上回る。
□ネットフリックスがNBCに追いつきそうな勢いで成長し続けている。
□旅行予約サイトは以下の2社が世界中のホテルの8割の集客を占める。
□ホテルズドットコム/エクスペディア:115億5千ドル(1兆2400億円)。
□航空会社は旅行予約サイトのために飛行機を飛ばしているともいえる。
□自分で資産を持つプレーヤーから仲介するプレーヤーに主役が変わった。
新規獲得に結びつかないマス広告
□世界中のマーケティングの9割は、まだ「新規獲得」に重点を置いている。
□営業をかけ、契約を獲得したらそれっきりで、また次の取引先を探す。
□ものやサービスを売るテレビCMは、多くの人に見せることに注力する。
□リビングにあるテレビは電源が入っていないか、誰も見ていない。
□家族は自分のスマホやタブレットでYouTubeやゲームに夢中になる。
□マス広告はすでに視聴者に届きにくい存在になっている。
□スモールビジネスを前提にしたマーケティングへの移行する時代が来た。
「1対N」から「1対1」
□日本は少子高齢化で人口が減る中、パイの取り合いは消耗戦が必至。
□新規獲得に躍起になるより、すでにいる顧客を大事にする。
□買おうとする人を探すのではなく、実際に利用してきた人に注目する。
□誰も注目しない「使い終わる」「やめる」「解約する」に注目する。
□これからは実際に利用してきた人の声を聞いてみることが大切。
□新規顧客獲得よりも解約防止がはるかに効率的なマーケティングになる。
□これからは「解約防止」が新しいマーケティングスタイルになる。
AISASにはない、大事なもの
□インターネットマーケティングで使われる消費行動モデル、AISAS。
□A:Attention(注意)
□I: Interest(興味)
□S: Search(検索)
□A: Action(行動)
□S: Share(共有)
□消費者はA:行動(購入する)が、A:行動(解約もする)ことに注目。
消費行動に「解約」を追加する
□消費行動モデルに「C:Cancel(解約)」のステップを入れる。
□解約という選択肢を追加することで見えてくる「解約防止」プロセス。
□新規ユーザー獲得よりもはるかに効率よくLTVを上げることができる。
□解約防止だけではなく、解約時に何が起きているかの把握もできる。
□自社ビジネスの欠点を一番よく知っている人は「解約」しようとする人。
□解約希望者から得られる情報の価値を認識できていない企業が多い。
□解約という出口をおさえたマーケティングに、すぐ着手する必要がある。
リテンションマーケティング
□サブスクサービス経験者の二人に一人はすでに解約を経験している。
□動画配信、音楽配信、電子書籍・雑誌・コミック定額配信サービス。
□飲食定額利用サービス。
□ソフトウェア定額利用サービス
(三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査(2019.12.9)による。)。
□これらサービスの解約を減らすのがリテンションマーケティングである。
□日本ではまだ市場形成されていない新しいマーケティング方法である。
「しかたない」と割り切る企業
□リテンションマーケティングでは、解約時のユーザーとの対話が大事。
□残念ながら多くの企業には、解約専任の担当者がいない場合が多い。
□解約されるのは「しかたない」と割り切っている企業が多いのが実情だ。
□売るためならお金を使うが、それ以外にはお金をかけない暗黙の了解。
□このような状況で、担当者がユーザーと直接対話するのは難しい。
□解約時のユーザーとの対話がいかに解約防止になるかを企業が理解する。
□そのためには実際にユーザーとの対話効果を体感するしか方法はない。
解約防止・分析ツールの活用
□ユーザーとの対話で期待できるのが、「チャットボット(AI)」である。
□解約希望者にはこのチャットボットとテキストで会話をしてもらう。
□ここで大切なのが、人間味のある会話ができるシナリオにすること。
□人は機械が相手でも、どことなく人間らしさを感じると話したいと思う。
□せっかく会話できるのなら、本当に知りたいことを聞き出したい。
□「本当に解約したいのか?」「解約したい理由は何か?」である。
□この質問に対して会話をしていくことで考え直してもらう戦略である。
アンケートより多い回答率
□チャットボット導入企業では、アンケートの20倍の回答が集まった。
□一般的に見返りのないアンケートは一方的に書かされ感を感じてしまう。
□もうやめるサービスについて、時間と労力を使って書いてくれている。
□一問一等の対話形式に替えただけで回答率が大幅にアップした。
□会話を続けると、伝えておきたいことが浮かんでくるのかも知れない。
□回答には今まで知らないユーザーの声がたくさんつまっている。
□このような濃い内容の回答はサービス改善役立つ貴重な情報となる。
導入した場合のコスト比較
□チャットボット導入コストが会員数500名分の会費と同額と仮定する;
□今月500名の解約を防止でき、得た会費でチャットボットを利用する。
□翌月以降、500名以上の解約を防止できたら解約防止コストは下がる。
□解約防止により増える売上と新規顧客を獲得して増える売上は同額。
□となると、解約防止のコストと新規顧客獲得のコストを比較すればよい。
□ある会社の新規獲得コストは1万円/人、解約防止コストは1000円/人。
□明らかに解約防止に効率的なマーケティングツールであることが分かる。
チャットボットへのニーズ
□動画配信サービスなどでは、あっさりと解約手続きを行っている。
□そのため、深い理由や要望を聞き出せないままユーザーが去っていく。
□チャットボット導入でサービスの改善点や要望が聞けるかもしれない。
□チャットボットは解約者をゼロにはできないが、問題点が聞き出せる。
□なぜ解約するのか、これまでの印象を具体的に聞けるチャンスである。
□チャットボットは今まで聞けなかったユーザーの声を聞いてくれる。
□ユーザーの声は解約防止のためのヒントがつまった貴重な宝箱である。
解約の三大理由を把握する
□サブスクサービスの3大解約理由はだいたい共通した傾向がある。
□「料金が高い」「コンテンツ不足」「思っていたものと違う」。
□健康食品系も「金額が高い」「効果がない」「続けるのが大変」など。
□エステなどの美容もは圧倒的に「金額が高い」のが理由となっている。
□解約理由には企業やサービスへの不満が凝縮されている場合が多い。
□やめる理由や、やめる人の行動を把握すれば対策を取ることができる。
□「声なき声」は、企業側が聞こうとしないかぎり企業には届かない。
傾聴してシナリオを作り込む
□会社のサービスの良さも欠点も一番理解している人は「解約」する人。
□企業が気づかないことをサイレントマジョリティーから吸い上げる。
□解約防止には「傾聴」「分析」「防止」の3つにポイントを絞る。
□傾聴して情報を得なければ、それを掘り下げての分析ができない。
□分析ができなければ、ユーザーの不満を解消して解約を防止できない。
□いかに自然に、人間らしい(AIではあるが)会話シナリオを量産する。
□相手に合わせ、ムダな質問は極力省いてシナリオマップを作成する。
AI+シナリオで自然な会話に
□ユーザーに本音で語ってもらうには、AIも自然な言葉で話す必要がある。
□一般的な会話ロボットは相手の言葉を理解した上で言葉を自動的に作る。
□チャットボットでは、人間が書いたセリフによって自然な会話をさせる。
□質問と回答の選択肢の文章は自動生成せず、あらかじめ用意しておく。
□自然言語処理のような柔軟さ不足を大量のシナリオ量でカバーする。
□その結果自然な日本語になり、ユーザーにも違和感を与えない。
□ストレスを感じさせずにできるだけ長く会話を続けてもらうことが大切。
クラスター分析
□チャットボットで集めた大量のデータは複数の分析方法で分析する。
□「クラスター」とは集団や群れという意味で、グループ化して分析する。
□サービスを使う頻度、入会経路など属性別にカテゴリー分けして分析。
□例えば、休眠ユーザーに解約する人が多いという傾向が見えたとする。
□その場合、休眠ユーザー向けに解約防止シナリオを作って対応する。
□どんなキャンペーンや広告で入会すると解約しやすいのか?
□最初に見たコンテンツと解約に関連性があるかなども追跡調査できる。
コホート分析
□「コホート」とは、マーケティング用語で同じ属性を持つ集団のこと。
□例えば、女性で独身、居住地は東京、年収はいくらという属性を設定。
□その属性ごとにサービスの利用期間、解約理由、再加入の可能性を分析。
□大規模ではなく細かなプロモーションをすることがコホート分析の狙い。
□小集団を設定して効果的な広告を出せば、継続会員を獲得できたりする。
□やみくもに大量の広告を出しても全く効果がない場合に使える分析方法。
□スモールマーケットに分けて、実のあるターゲティングができる。
チャーンイン/アウト分析
□「チャーン(churn)」とは「移動」「変遷」という意味。
□マーケティングの分野でもあまりなじみがない言葉である。
□一般的に携帯電話業界でユーザーが電話会社を変更するときに使う。
□例:「ソフトバンクからチャーンアウトしてauにチャーンインした」
□ここでは、自社サービスを解約して、どこに移ったのかを調べる。
□チャットボットで解約希望者にそのまま質問すれば、回答してくれる。
□何が自社の強みで、何が弱点なのかを明確化することができる。
チャットボットシナリオ分析
□どの選択肢を選んだか、その選択肢を選んだ人の何人が解約をやめたか。
□シナリオに対する反応のデータが蓄積される。
□例えば「画像が悪かった」と答えた人はほとんどやめるが、
□「その他」と答えた5%の人は継続している、などを知ることができる。
□解約理由と解約防止の因果関係が見えてくる。
□シナリオを変えたことによる数字の変化もさらに分析していく。
□これらの分析結果を統合して、広告戦略などに活かしていく。
チャットボットの効果
□解約ページに置いたチャットボットの月単位の解約防止率は10%越え。
□チャットボットとの会話で解約をやめた人は、その後も95%以上が継続。
□ある動画配信サイトで1年以上のユーザーの解約防止率は15%。
□会員期間1ヶ月未満での解約防止率は9%にとどまる。
□別の例では1年以上のユーザーの解約棒率は平均よりも7%以上高い。
□解約ページでのチャットボットとの接触率は60%近くあった。
□チャットボットで得た情報量は以前のアンケート情報の18.9 倍だった。
分析結果から見る課題と対策
□チャットボットの結果から、これから取り組むべき課題が見えてくる。
□入会期間が長い人ほど解約防止率が高いことが判明。
□1ヶ月未満の会員をいかに1ヶ月以上にもっていくか。
□1年未満の人をどうやってLTVが高い1年以上の会員にするか。
□「解約を希望するか」の質問に「悩んでいる」との回答も5%存在した。
□この「悩んでいる」人たちの解約防止率は他の選択肢を選んだ人の10倍。
□悩んでいた人の情報をさらに分析して改善を図ることが対策となる。
率直な意見が聞ける
□チャットボットとの対話では、自由記述の回答率も高い。
□アンケートと比べて対話形式はユーザーの声が集まりやすい。
□InstagramなどSNSでの発信で書き込みが身近で当たり前になってきた。
□自分の情報発信が影響を与えられる気持ち良さもあるかもしれない。
□テキストのほうがフェイス・ツー・フェイスや電話より気をつかわない。
□世の中の変化がチャットボットによる解約防止や解約分析を支えている。
□チャットボットとの1対1の対話データを今後の事業戦略に活用できる。
ユーザーとの直接対話
□「きっと○○に違いない!」と決めつけたマーケティングが今も主流。
□その結果、何千人に向けてムダな広告費を使って宣伝をしてしまう。
□誰にでも教えてくれはしないが、本人に聞くと一発でわかることもある。
□直接本人から「私○○です!」と聞いた人に広告した方が効果的である。
□企業もユーザーとの直接対話で距離が縮まること気づき始めた。
□1対1での率直なコミュニケーションがとれた場合、それが可能となる。
□率直なコミュニケーションはユーザーをファン化する可能性もある。
ファンマーケティング
□ファンマーケティングとは自社サービスに好意的なユーザーを探す。
□自社サービスを体験してもらい、能動的に動いてくれるユーザーに育成。
□自社サービスに好意を持つユーザーはコンテンツ化してWeb上で発信。
□ファンが発信した情報を自社コンテンツとして公式ページで利用する。
□ファンは無償で好きでやっているからこそ人の心を引きつける。
□インフルエンサーであるファンと企業が一体となってさらに盛り上げる。
□ファンになって長く付き合ってくれるユーザーのLTVが当然高い。
ファンと直接触れあう必要性
□2018年5月からEUが本人の同意がない限り、個人情報を入手できない。
□グーグルも個人のネット閲覧履歴を把握する仕組みを制限しはじめる。
□個人情報保護強化の世界的な動きであり、広告の精度低下につながる。
□アメリカのチーターデジタルという会社が新しい概念を提唱した。
□「顧客が自らブランド(企業)に積極的に共有する情報」である。
□企業はアンケートやクイズで顧客と関係を深め、情報を直接収集する。
□これから時代にはなくてはならないマーケティングスタイルになる。
まとめ
□時代が「所有」から「利用」するシェアリングエコノミーに変わった。
□企業のモノを売るマーケティングはさまざまな手法が通用しなくなった。
□「やらせ」に近い宣伝に頼り、ユーザーの信頼を失う企業も多い。
□サブスクの時代にユーザーの「解約」は避けて通れない。
□そうであれば、解約前の1対1コミュニケーションで課題を知る。
□課題を一つ一つ解消していくことでユーザーは企業のファンになる。
□それがワンツーワン・マーケティングであり、これからの戦い方である。
参考資料
□解約新書 佐野敏哉氏/幻冬舎
□日本経済新聞「情報保護と販促戦略を両立 ゼロパーティ・データ」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54813420U0A120C2X30000/
□日本経済新聞「自動車産業の「破壊者」米ウェイモの正体」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54423040V10C20A1000000/
□愛車サブスクリプション「KINTO」は本当にお得なのか!損得を計算してみたら意外な結果に
https://intensive911.com/?p=186094